京商 インファーノ シリーズ
1/8スケール 21エンジン 4WD レーシングバギー
🏆 インファーノシリーズの歴史
1991年、京商が1/8スケールGPレーシングバギー「インファーノ4WD」を発売し、インファーノシリーズの歴史が始まりました。以来、30年以上にわたり、IFMAR世界選手権で通算8回の優勝を含む栄光の歴史を刻み、京商製R/Cカーのフラッグシップモデルとして君臨し続けています。
最新のMP11(2025年9月発売)は、先代MP10から6年ぶりのフルモデルチェンジを敢行し、前後重量配分の最適化、サスペンションジオメトリーの見直し、完全新設計のボディとリアウイングを採用。世界トップクラスの性能を維持しながら、さらなる進化を遂げています。
このページでは、最新のMP11から初代インファーノ4WD(1991年)まで、インファーノシリーズの全歴史を辿ります。
📋 最新モデル:インファーノ MP11(2025年9月発売)
引用元画像:京商公式サイト
| メーカー | 京商(Kyosho) |
|---|---|
| 機種名 | インファーノ MP11(Inferno MP11) |
| シャーシ略称 | インファーノ シリーズ |
| 型番 | 33028 |
| 発売時期 | 2025年9月 |
| 価格 | ¥148,500(税込) |
| 生産状況 | 現行販売中 |
| カテゴリー | ラジコンカー(1/8スケール 21エンジン 4WD レーシングバギー) |
| サブカテゴリー | GPレーシングバギー(競技用オフロードバギー) |
📏 MP11 シャーシスペック
| 全長 | 490mm |
|---|---|
| 全幅 | 307mm |
| 全高 | 180mm |
| グランドクリアランス | 28mm |
| ホイールベース | 325mm(リヤハブカラーで変更可能) |
| トレッド | フロント254mm / リヤ254mm |
| タイヤ | 1/8バギー用タイヤ(別売) |
| ギヤレシオ | 12.19:1 |
| 全備重量 | 約3,390g |
| エンジン | 21クラスエンジン(別売) |
| メインシャシー | 7075アルミニウム製(3mm厚、ハードアルマイト加工) |
⚙️ MP11 駆動系
| 駆動方式 | シャフトドライブ4WD |
|---|---|
| デフギヤ | フロント・センター・リアの3デフ方式 ベベルギヤ強化で耐久性向上 |
| ギヤモジュール | 0.8モジュール(スパーギヤ・クラッチベル) ※ギヤ比の微調整が容易 |
| センタードライブシャフト | ドッグボーンスタイル(MP10 TKI3から継承) トラクション性能向上 |
| ユニバーサルスイングシャフト | アルミ製キャップでジョイント部をカバー グリス飛散防止+耐久性向上 |
| センターデフホルダー | 上下分割式(メンテナンス性向上) ブレーキパッドボルトにテンションスプリング追加 |
🔧 MP11 サスペンション
| 形式 | 4輪ダブルウィッシュボーン独立懸架 |
|---|---|
| ダンパー | ダイヤフラム式オイルダンパー×4本 安定した動作特性 |
| ダンパーステー | 7075ジュラルミン製(高剛性) フロント5mm厚、リア4mm厚(軽量化も実現) |
| ロアサスペンションアーム | 完全新設計 オプションのカーボンプレート装着でアーム剛性調整可能 低グリップ~ハイグリップ路面まで広範囲対応 |
| フロントハブキャリア | アルミ製 キングピンアングル12°、キャスター角18° 高速域の安定性+ドライバビリティ向上 |
| リアハブ | MP10比で取り付け位置を外側に設定 キャンバー変化率軽減→ハイグリップ路面・高速走行時の安定性向上 |
| サスシャフトホルダー | アルミ製(高剛性) 樹脂製ブッシュで保持(トー角・ロールセンター変更可能) |
💡 MP11 特徴
6年ぶりのフルモデルチェンジ
- 先代MP10(2019年1月発売)から6年ぶりの全面刷新
- メインシャシー、サスペンション、駆動系、ボディを完全新設計
- 世界トップクラスの性能を維持しながらさらなる進化
前後重量配分の最適化
- R/Cメカ用バッテリー搭載位置を前方に移動
- MP10比で前寄りの重心設定
- ギャップ走破性アップ+素直で扱いやすい操縦性を実現
- 俵型バッテリーを使用、搭載位置を2箇所から選択可能
新設計サスペンションジオメトリー
- ワンランク上の路面追従性を実現
- コーナリング速度の向上
- セッティング変更可能範囲の拡大
- 作業性も大幅にアップ
完全新設計のボディ&リアウイング
- 空力性能を追求した新デザイン
- ダウンフォースの前後バランスを最適化
- コントロール性とコーナリングスピードの高さを両立
- 新型リアウイング:16箇所のエアフローホール(ダウンフォース微調整可能)
- 軽量化されたリアウイングステー
メンテナンス性の向上
- 新設計の前後バルクヘッド(分割式デザイン)
- デフへのアクセスがしやすく、メンテナンス性向上
- センターデフホルダーは上下分割式
- 新型サーボセイバー(砂・ホコリによる影響を最小限に抑制)
📖 インファーノシリーズの歴史(新しい順)
🔹 インファーノ MP10(2019年1月発売 - 現行販売中)
- 型番: 33022(MP10 TKI2)、33026(MP10 TKI3)
- 特徴: トレッド・ホイールベースの最適化、アッカーマン比の最適化、重量配分の改善
- 進化点: ロアサスアーム強度アップ、φ4.5mm大径サスシャフト採用、ロアアーム側ダンパー取り付け位置を外側化
- 記念モデル: インファーノ MP10 30th アニバーサリーリミテッドエディション(2021年、インファーノシリーズ誕生30周年記念)
🔹 インファーノ MP9(2008年発売 - 生産終了)
- 型番: 31785(MP9)、31786(MP9 WC)、31787(MP9 Spec A)
- 特徴: MP8を飛ばしてMP9へ(革命的なモデルチェンジ)
- 進化点: ゼロからの再設計、ブラシレスモーター対応(電動バージョンも展開)
- バリエーション: MP9 TKI、MP9 TKI2、MP9 TKI3、MP9 TKI4(2018年、MP9シリーズ誕生10周年記念モデルあり)
- レース実績: 2010年IFMAR世界選手権優勝(Cody King / Jared Tebo)
🔹 インファーノ MP777(2004年発売 - 生産終了)
- 型番: 31777(MP777)、31778(MP777 SP1)、31779(MP777 SP2)
- 特徴: IFMAR世界選手権6連覇を記念して開発
- 進化点: 重心位置の最適化、リアサスペンション のロングストローク化、耐久性向上(マフラーガード、フロントハブガード、ディッシュ型ホイール)
- レース実績: 2006年IFMAR世界選手権優勝(インドネシア)
- 名前の由来: 「7」を継承(MP7.5の進化版)
🔹 インファーノ MP7.5(2000年発売 - 生産終了)
- 型番: 31081(MP7.5)、31082(MP7.5 Kanai1)、31083(MP7.5 Kanai2)、31084(MP7.5 Kanai3)
- 特徴: 金井祐一氏(2000年世界チャンピオン)の名を冠した初のモデル
- 進化点: 金井祐一氏のレース経験を直接フィードバック、操縦性・耐久性・セッティング幅の向上
- バリエーション: MP7.5 Sports(エントリーモデル、2009年まで生産継続)
- レース実績: 2000年IFMAR世界選手権優勝(ラスベガス、金井祐一選手)
🔹 インファーノ MP6(1998年発売 - 生産終了)
- 型番: 詳細不明
- 特徴: インファーノシリーズの中期モデル
- バリエーション: MP6 International、MP6 Sport(エントリーモデル)
🔹 インファーノ MP5(1990年代中期発売 - 生産終了)
- 型番: 詳細不明
- 特徴: インファーノシリーズの初期モデル
- バリエーション: MP5 Evolution 2
🔹 ターボインファーノ(1990年代初期発売 - 生産終了)
- 型番: 詳細不明
- 特徴: インファーノのオールオプション仕様
- 進化点: 初代インファーノの性能を大幅に向上させた競技向けモデル
🔹 インファーノ 4WD / MP3(1991年発売 - 生産終了)
- 型番: 詳細不明(内部呼称:MP3)
- 特徴: インファーノシリーズの原点、「クラシックインファーノ」第1世代
- 歴史的意義: 1/8スケールGPレーシングバギー市場において、京商のフラッグシップモデルとして誕生
- バリエーション: インファーノ DX、インファーノ DX2(エントリーモデル、プラスチックダンパーなど簡略化パーツ採用)
- レース実績: 1992年IFMAR世界選手権優勝(ドイツ、峠国士選手)
- 先代モデル: Turbo Burns 4WD / MP2(1990年)からの進化
- パーツ互換性: Turbo Burnsと一部パーツを共有(BS/BSWパーツ番号)
🔹 ターボバーンズ 4WD / MP2(1990年発売 - 生産終了)
- 型番: 3097(内部呼称:MP2)
- 特徴: 金井祐一氏が初めて関与したモデル、Burnsの進化版
- 歴史的意義: 後にインファーノシリーズで8回の世界選手権優勝を成し遂げる金井祐一氏のデビュー作
- 進化点: 先代Burnsから2年間の競技経験をフィードバック、多数のオプションパーツを導入
- Turbo命名: 1980年代~1990年代初期に高級モデルを示す命名規則、後のTurbo Infernoにも継承
- バリエーション: Turbo Burns SCC(Special Championship Car、限定リリース)
- 生産終了: 1991年にインファーノ4WD(MP3)に置き換わったが、廉価版Burns DX 4WDは1992年まで販売継続
🔹 バーンズ 4WD / MP1(1987年発売 - 生産終了)
- 型番: 詳細不明(内部呼称:MP1)
- 特徴: 京商1/8スケールGPバギーの原点、「MP(Model Project)」シリーズの始まり
- 歴史的意義: 京商が1/8スケールオフロード市場で本格的に競技用バギーを展開した記念碑的モデル
- バリエーション: Burns 2WD、Burns 4WD、Burns DX 2WD、Burns DX 4WD(全5種類の仕様)
- パーツ番号: BS(標準パーツ)、BSW(オプションパーツ)の命名規則を確立
- 峠国士選手とBurns: 1987年に横浜本牧で開催された全日本選手権にBurnsで初出場
- 先代モデル: Vanning、Landjump、Presto(Integraライン)から進化
🏆 IFMAR世界選手権の栄光(通算8回優勝)
| 年 | 開催地 | 優勝者 | 使用機種 |
|---|---|---|---|
| 1990年 | タイ | 峠国士(出場) | Turbo Burns / MP2 |
| 1992年 | ドイツ | 峠国士 | インファーノ / MP3 |
| 1994年 | オーストリア | Maurizio Monesi | ターボインファーノ / MP4 |
| 1996年 | イギリス | Alex Laffranchi | インファーノ MP5 |
| 1998年 | ポルトガル | Daniel Reckward | インファーノ MP6 |
| 2000年 | ラスベガス(アメリカ) | 金井祐一 | インファーノ MP7.5 |
| 2002年 | ウルグアイ | Greg Degani | インファーノ MP7.5 |
| 2006年 | インドネシア | Mark Pavidis | インファーノ MP777 |
| 2010年 | タイ | Cody King | インファーノ MP9 |
インファーノシリーズは、1992年の峠国士選手による初優勝から、2010年のCody King選手まで、IFMAR世界選手権で通算8回の優勝を達成。特に1992年~2002年の6連覇は圧巻でした。世界最高峰のレースで勝ち続けるインファーノの性能は、まさに「伝説」と呼ぶにふさわしいものです。
また、インファーノの前身であるTurbo Burns(MP2)は、1990年タイ世界選手権に峠国士選手が出場し、その経験が後のインファーノ開発に活かされました。
🔧 ぽすとそに工房での修理実績
修理難易度
★★★☆☆(普通)
最新のMP11・MP10は現行モデルのためパーツ入手が容易ですが、MP9以前の旧モデルは絶版のためパーツ入手が困難です。1/8スケールGPバギーの知識と経験が必要です。
よくある故障・注意点
- エンジンのトラブル:21クラスエンジンの調整・メンテナンスが重要。キャブレター調整、プラグ交換、エンジン洗浄など。
- クラッチの摩耗:クラッチシューの摩耗により、発進時に滑ることがある。定期的な交換が必要。
- デフギヤの破損:高負荷走行によりデフギヤが破損することがある。オイル漏れや異音に注意。
- ダンパーオイル漏れ:オイルダンパーのOリング劣化によりオイル漏れが発生。定期的なメンテナンスが重要。
- サスペンションアームの破損:クラッシュ時にロアサスアームが破損しやすい。MP10以降は強度が向上。
修理のポイント
- エンジンメンテナンス:定期的なエンジン洗浄、キャブレター調整、プラグ交換。燃料フィルター・エアクリーナーの清掃も重要。
- デフメンテナンス:デフオイルの定期交換、デフギヤの点検。オイル漏れがある場合はOリング交換。
- ダンパーメンテナンス:ダンパーオイルの定期交換、Oリングの点検。オイル漏れがある場合は即座に対応。
- クラッチ調整:クラッチシューの摩耗チェック、クラッチスプリングの調整。発進時に滑る場合は交換。
- サスペンション調整:サスシャフトのガタチェック、ブッシュの摩耗確認。トー角・キャンバー角の調整。
その他の特徴
- MP11・MP10は現行モデル:パーツ入手が容易で、修理・メンテナンスがしやすい。
- MP9以前は絶版:パーツ入手が困難なため、中古パーツや互換パーツを活用する必要がある。
- 1/8スケールGPバギーの知識が必要:エンジン調整、クラッチ調整、デフメンテナンスなど、専門的な知識が求められる。
- 世界トップクラスの性能:インファーノシリーズは競技用モデルのため、高い性能を発揮するが、メンテナンスも重要。